トラックドライバーといえば、男性のイメージが強い職業です。その一方で、女性の社会進出が叫ばれる昨今、ほかの産業の例にもれず、女性のトラックドライバー「トラック女子」の姿も増えてきています。
「実は大型免許を取得している」「体を動かす仕事を探している」「トラック女子になって稼ぎたい」と考えている女性のために、本記事では、トラック女子の実情や業界の動き、やりがい、働くうえでのメリット・デメリットについて詳細に解説します。
現在の日本では、トラック女子の実情はどのようになっているのでしょうか?詳しく説明します。
国土交通省が発表した労働力調査によると、平成27年の時点でトラック産業は国内貨物輸送の4割を担い、トラックドライバーは全国で188万人にものぼるとなっています。しかし、そのうち女性のドライバーの割合はわずか2.5%、約4.7万人にとどまっています。
全産業の女性就業者数が43.2%である以上、ほかの産業に比べて、トラック業界の女性進出率は極めて低いと言えます。トラック業界は、まだまだ男性社会であるといわざるを得ません。
厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、運輸業・郵便業界における女性の平均月給は、令和4年時点で約24万円となっています。これに対して、男性の平均月収は約29万円となっており、男女間の格差の大きさが読み取れます。
さらに、公益社団法人全日本トラック協会が発表した「2022年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」を見てみると、令和4年度における男性トラックドライバーの平均月収は34万2500円でした。
対して、女性トラックドライバーは27万7600円(どちらも賞与除く)と、6万4900円の差がついています。
この男女の賃金格差の要因としては、男性の平均勤続年数が13年9か月なのに対して、女性は7年2か月と男性の約半分にとどまっていることや、女性は男性に比べて変動給(歩合給や時間外手当)の平均額も2/3程度であるということがあげられます。
女性は、出産や育児などのために、仕事にブランクができてしまいやすく、長時間勤務や長距離トラックへの乗車が難しくなるケースが多いためと考えられます。
現在、トラックや鉄道、外航海運、航空、倉庫などあわせて、日本の物流事業全体の市場規模はおよそ29兆円です。このうち、トラック運送事業の市場規模は、19兆3,576億円(平成30年度)にものぼり、この数字は、物流市場全体の約7割を占めています。
しかし、トラックを含む道路貨物運送業の賃金水準は、全産業の平均に比べて水準が低く、そのうえ、年間労働時間は全産業の平均と比べて長時間になっています。
また、その従業員の年齢構成も、中高年層の男性労働力に依存しているという状況で、さらに年々高齢化が進んでいます。
このため、トラック運送事業では現在、さまざまなガイドラインを設けています。長時間労働の抑制や、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消、ICTの積極的な活用など、働き方改革を積極的に推し進めているところです。
この施策によって、将来的に若者や女性のドライバー人口の増加が期待されています。
女性トラックドライバー活躍を後押しするために発足された「トラガール促進プロジェクト」の全容について解説します。
トラック運送事業だけではなく、運輸業界全体は他業種と比べて、女性の数が少ないのが現状です。いまだに男社会であり、女性進出の機運に乗り遅れている印象は否めません。
加えて、主力ドライバーの高齢化や燃料費の高騰など、産業としての今後を懸念する声も大きくなってきています。このイメージを打破し、業界を活性化させるために、女性ドライバーを多く取り込むための新しい施策が必要とされています。
そこで国土交通省は、女性トラック運転手を「トラガール」と名付け、トラックドライバーの仕事の魅力を伝え、より多くの女性たちに活躍してもらうために「トラガール促進プロジェクト」を発足しました。
現在、女性トラックドライバーは全体の2.5%にとどまっていますが、大型免許を保有する女性は13万4000人以上います。つまり、これからトラックドライバーとして活躍できるポテンシャルを持つ女性が、一定数以上存在するということです。
しかし、女性であるという理由からドライバーへの就職を断られるケースがあるほか、女性用トイレが整備されていない現場が多いなど、実際に女性が働く環境がまだ十分に整っていないという声も多く聞こえます。
「トラガール促進プロジェクト」は、女性がトラック運送業界へ進出するためのハードルとなっている要素を取り除くため、女性が働きやすい労働環境の整備や業界イメージの改善を経営者たちに働きかけ、女性進出のための積極的な情報発信を目的としています。
具体的な取り組みとしては「若年層・女性ドライバー就労育成・定着化に関するガイドライン」の策定と、それを使った、女性や若者採用に係るパンフレットの作成があります。
ドライバーの採用から、育成・定着化のポイントを分かりやすく紹介し、またハラスメントや教育に関する注意点、女性を受け入れるための環境整備についても盛り込まれています。
また、「トラガール促進プロジェクト」の発足とともに、国土交通省自動車局のウェブサイト内に「トラガール促進プロジェクトサイト」が立ち上げられました。
こちらには、運転免許の種別ごとの取得方法や、全国の現役女性ドライバーへのインタビュー、トラガール推進企業へのおすすめ施策など、トラガールを目指す人、トラガールを採用したい人の後押しができるような情報発信をしています。
トラック女子として働く場合、どんなメリットがあるのでしょうか?5つに分けてご紹介します。
トラックドライバーに一番必要なものは運転免許です。もちろん、就職にはそれ以外の適正も大切ですが、現在のトラック業界は慢性的な人材不足に陥っています。
まずは免許を持っていれば、その先のポテンシャルに期待して、未経験でも雇ってくれるという企業もたくさんあります。
未経験の場合、採用後に問題なく仕事ができるか、不安を感じるかもしれません。しかし通常の場合、入社すると、まずはしばらく先輩ドライバーのトラックに同乗することになります。
そうしたプロセスが、荷物の積み下ろしから配送ルート、接客のテクニックを学ぶための研修期間になっています。独り立ちは、経験豊富な先輩からしっかりとノウハウを学んでからとなるため、安心して仕事に取り組むことができるでしょう。
また、運転に不安がある人のために、練習場を使った指導付きの運転練習や講習を受けることも可能です。こうしたサポートの活用によって、未経験者や運転ブランクがある方でも、臆することなくチャレンジできるでしょう。
通常の会社勤めをしていると、圧倒的にデスクワークの割合が多いでしょう。これに起因する運動不足は、現代人が抱える最もポピュラーな悩みといえます。
一方トラックドライバーは、座って運転している時間が多いように見えて、実は荷物を積み下ろしや荷運び、場合によっては陳列など、活発に動き回る時間が大半を占めます。
車を使っていろいろな場所へ行けるところも楽しい魅力のひとつですが、体を動かすのが好きな方、移動が好きな方には、うってつけの仕事といえるでしょう。
トラックドライバーのイメージと言えば、長時間労働、不規則な就労時間、夜勤などがあげられます。しかし、お付き合いするお客様の業種によっては、運ぶ荷物の内容や配送する時間帯、仕事内容もさまざまなのが、トラックドライバーの特徴のひとつです。
早朝から午前中まで、または夕方まで、夜間など、実にさまざまな時間帯の働き方が用意されています。家族の事情やライフスタイルに合わせて、どんな時間帯で働くかをある程度選択できるのも魅力です。
大型トラックに乗って、たくさんの荷物を一気に遠くへ運ぶ長距離ドライバーは、拘束時間が長い分、もらえる報酬も高額です。
実際に、普通車両から、準中型、中型、大型、大きなトレーラーを引くけん引車両と、運転車両が大きくなるにつれて、月収の平均額は10万円以上も差があります。大型車両を運転できるようになって、長距離ドライバーを目指せば、高収入も狙えるでしょう。
運転免許には、車両の重量に合わせて種類があります。それぞれの免許取得をバックアップしてくれる制度を持つ企業も多いため、積極的に相談してキャリアアップを目指すとよいでしょう。
まずは普通自動車免許で就労し、働きながら車種に応じてステップアップしていけば、どんどん仕事の幅が広がり、収入アップにもつながります。他業種でのドライバー経験があれば、そうしたキャリアも役立つでしょう。
また、危険物取り扱い者の免許を取得すれば化学物質ドライバーへの転身もできるほか、資格を取得して運行管理者や社内の管理職へのステップアップも可能です。やる気によって進む道が選べるところもまた、やりがいを感じられるのではないでしょうか。
生活様式や社会環境の変化にともなって、あらゆる運送業務のニーズはどんどん高まっています。しかし、その中核を担うはずのトラックドライバーは、人材不足に拍車がかかる一方で、もはや社会問題にも発展しています。
この問題を重く受け止めた政府が発足した「トラガールプロジェクト」を始め、業界内でも女性トラックドライバーへの関心が高まっています。
女性を積極的に採用し、また長く働いてもらうために、設備の充実や労働環境の整備、教育・研修制度の充実・強化、働き方改革など、各企業がさまざまな取り組みを積極的に進めています。
女性活躍推進の機運が高まる今こそ、女性トラックドライバーとして活躍するチャンスといえるでしょう。
今度は反対に、女性トラックドライバーのデメリットについてもご紹介します。
トラックドライバーは、長時間の運転だけではなく、荷物の上げ下ろしや移動も求められる職業です。昨今、運送業務のニーズは高まる一方であり、これまで以上に、重たい荷物をできるだけ多く、たくさんの場所に配送しなければならない状況も考えられます。
また、今日にいたるまで圧倒的に男性の数が多い職場のため、男性の平均的な体力や体格を基準に業務を考えられているシーンが多く、何かと手間や苦労が増えてしまうという側面もあります。
もちろん、現在は以前と比べ、男女差や個人差に配慮される時代になってきています。しかし事務職などに比べると、どうしても体力が資本になるというのが事実です。
力作業に自信がないけれど運転が好き、という場合は、比較的軽量な荷物が多く配送件数の多い、軽貨物ドライバーを選択するのがよいでしょう。
荷物の配送は体力勝負、そして時間勝負です。決められた時間内にできるだけ荷物を運ばなければならず、その間は外で常に車を運転し、荷物を運んでいるという状況になります。
もし、配送中やシフトが入っている時間帯に家族に何かあった場合、すぐに仕事を切り上げたり休んだりということが簡単にはできません。
また、現在の配送業界は慢性的な人材不足です。従業員数の少ない会社だと、イレギュラーに対応してくれる人員の補充が難しく、急な休みはさらに取りにくい傾向にあります。
小さなお子さんをお持ちの方や、健康に心配のある家族がいる場合は、なるべく人員に余裕のある会社を選ぶ必要があります。
ここ数年の取り組みのおかげで、徐々に女性トラックドライバーの人数が伸びてきていますが、やはり依然として、トラックドライバーの大半は男性で構成されています。
このため、女性のドライバーが配送をするという想定が十分にされておらず、女性専用トイレが用意されていない場合もまだまだ多いようです。配送先でのトイレ確保は、女性トラックドライバーにとってなかなか頭の痛い問題となっています。
ただし、女性トラックトライバーの増加や「トラガール推進プロジェクト」などの取り組みによって、女性用トイレの問題は徐々に改善傾向にあります。
事前に行き先の状況を調べてから仕事にかかるほか、会社や周囲に相談するなどの行動で、さらに状況はよくなっていくでしょう。
女性トラックドライバーに向いている人は、どんな人でしょうか?4つのポイントにまとめました。
長距離の運転には、体力と集中力が必要です。とくに、配送先での荷物の上げ下ろしや運搬はもちろん、なるべく多くの配送先を回るためには、ときに小走りになったり、荷物を持ったまま階段を駆け上がったりと、トラックドライバーには体を使う場面がたくさんおとずれます。
これに対応するには、とにかく体力を使うほかありません。体を動かすのが好き、体力に自信があるという方は、トラックドライバーに適しています。
トラックの運転は過酷です。大型トラックでの長距離配送なら、夜通し走り続けることも、1日中ハンドルを握っていることも当たり前に起こります。
また、普通車での配送でも、たくさんの荷物を短時間にさばくために、あちこち運転するだけではなく、自分の足で荷物を持って走り回るということも起こるでしょう。こうした疲れから、体調を崩してしまうドライバーも少なくありません。
回復に時間がかかれば、翌日の勤務やほかの人の仕事へも影響を及ぼしかねません。自分がどのくらい動けるのか、今の体調は、今日の仕事終わりの具合は、明日への影響は…と、自分の調子をしっかり管理する能力も、トラックドライバーを続けるには大切です。
また、車を運転する仕事のため、飲酒についても厳しい基準が設けられています。何時間前にどれくらい飲んだのか、いつ頃までにアルコールが抜けるのか、自分はどのくらいアルコールが残る体質なのか、厳密に管理する必要があります。
もちろん、二日酔いになってしまうような飲み方をしてしまうと仕事になりません。トラックドライバーになるには、こうした自己管理と節制がきちんとできる能力が求められます。
長距離運転が苦にならない方は、トラックドライバーに向いています。長時間・長距離の運転は、座りっぱなしで作業も景色も単調です。
これに飽きて、精神的に苦痛になってしまうという方も実は多いものです。毎日無言で孤独に運転するという状況が、つらくなってしまうという人もいるでしょう。
孤独を楽しめる、長距離を無理なく運転できるというのは、トラックドライバーとして重要な才能のひとつです。
長距離運転をより快適にするコツとして、トラックの内装にこだわることが挙げられます。こちらの記事では、トラック内装カスタムの注意点やカスタム可能な箇所を紹介しています。
まだまだトラック業界の大半は男性で構成されています。また、業界全体の雰囲気もかなり改善されてきてはいますが、語気が荒く、ぶっきらぼうな応対の方も多く存在し、そのような雰囲気の現場も多いでしょう。
配送先も同様です。老若男女さまざまに存在するのはもちろん、性格も態度もさまざまです。基本的には、どんな人でも人見知りせず、円滑なコミュニケーションが取れる能力が必要です。
また、個別に動くことが多い仕事のため、自分の現状や仕事の見通し、突発的なトラブルへの対応など、自分の言葉でしっかりと主張しなければならない場面も多数あります。感情をぶつけるのではなく、相手に正しく言葉を届けられる技術を持つことも大切です。
トラック女子の実情について解説しました。現在の運送業界は、ニーズが高まるばかりで人材不足だけが深刻な状況です。女性や若い人を積極的に取り込んで盛り上げていきたいという思いで、働き方や環境の改革がどんどん進んでいる時期でもあります。
そのため、社内制度の充実に注力し、雇用者のスキル習得をバックアップしている会社もたくさんあります。自分が得た技術を使って稼ぎ方をアップデートできるというところもまた、魅力的な職業ではないでしょうか。
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