ラストワンマイル配送は、商品やサービスを配送する最終区間を指します。市場が拡大中のライスワンマイル配送ですが、さまざまな課題を抱えており、解決策を施すことが重要です。
本記事では、ラストワンマイル配送について、抱えている問題や解決策をご紹介します。そのほか、ラストワンマイルのサービス例もお伝えするので、どのような活用方法があるか知りたい方はぜひ参考にしてください。
ラストワンマイル配送とは、商品やサービスをスタート時点からゴール時点まで配送する際、ゴール時点に到着する区間を指します。宅配業者に任せる場合や自社で完結する場合など、届ける方法はさまざまです。
以下では、ラストワンマイル配送について、現段階の市場規模や必要性を解説します。ラストワンマイル配送によるサービス提供を検討している場合、判断材料のひとつとして参考にしてください。
ラストワンマイル配送の市場は、右肩上がりで拡大しています。2023年に実施された矢野経済研究所のラストワンマイル物流市場に関する調査によると、
市場規模の推移は2020年度が25,380億円、2021年度が27,720億円、2022年度が29,110億円と報告されています。
2023年度以降の予測では、2023年度が31,940億円、2024年度が32,790億円、2025年度が33,700億円です。今までの市場規模の推移と同じように、右肩上がりで拡大すると予想されています。
またラストワンマイル配送の市場規模は、全体の約6割を通信販売事業が占めています。
配送方法は、宅配便が7割ほど、自社配送が3割ほどです。
自社配送では、アセット型とノンアセット型の2つに分けられます。アセット型とは、自社で保有している車両で配送する方法で、ノンアセット型とは配達代行サービス事業者や個人事業主などに委託する方法を指します。
ラストワンマイル配送は、市場規模が拡大しており利用者も増えていることから、必要性が高いといえます。ラストワンマイル配送により、当日や翌日配達を実現できるので、少しでも早く商品を受け取れるというメリットにつながるでしょう。
また顧客満足度が向上すれば、リピート購入や新規顧客の獲得にも発展する可能性があります。商品やサービスの販売企業にとってもメリットが得られるケースがあり、とくにネット販売をメインに行う企業で利用されていることが多いです。
ラストワンマイル配送は、さまざまなサービスとして提供されています。ここでは、ラストワンマイル配送のサービス例を3つご紹介します。
宅配ボックスは、スーパーや駅などに設置されており、自宅以外で商品やサービスを受け取りたい場合に便利です。日常的に利用しているスーパーや駅に設置された宅配ボックスを指定すると、会社や学校帰りに立ち寄って荷物を受け取れます。
宅配ボックスで荷物を受け取る場合、ロックの解除パスワードを入力して利用するケースがほとんどです。
配達が完了した旨を伝える通知が届くと同時に、パスワードが知らされることが多いです。
また宅配ボックスは、直接利用者に届ける必要がないため、不在で再配達しなければいけないという事態を避けられます。宅配ボックスに荷物を届けて配達通知を送るのみなので、配達業者にとって再配達の手間を省けるメリットがあります。
コンビニ受け取りは、大手のコンビニで導入されているサービスです。先ほどご紹介した宅配ボックスと似ているサービスですが、有人対応であるかが違いとなっています。
はじめにコンビニの店員が荷物を受け取るので、人の手から人の手へと渡っているという安心感があるでしょう。
24時間営業のコンビニへの配送を指定すると、朝晩関係なく好きなタイミングで荷物を取りに行けます。
また宅配ボックスと同じように、利用者不在による再配達が発生することがありません。
自宅を留守にしていることが多い方や、荷物を受け取れる時間が不規則で予測できない方におすすめです。
ドローン配送は、小型の無人飛行機を活用して荷物を届けるサービスです。実証実験が行われていますが、宅配ボックスやコンビニ受け取りよりも利用率は低いですが、これからドローン配送を活用する企業が増える可能性があります。
ドローン配送で用いられる小型飛行機は、GPSやセンサーなどが搭載されているので、無人とはいえ進捗状況を確認できます。あらかじめ設定されたルートを飛行し、道路上の事故や渋滞に巻き込まれるリスクも回避できるでしょう。
ラストワンマイル配送は、利用者にとってとても便利なサービスですが、いくつか問題を抱えています。ここでは、ラストワンマイル配送の問題を4つご紹介します。
配送業界は、若い世代からの参入が少ない傾向にあるため、ドライバーの高齢化が問題となっているところが多いです。
ベテランドライバーは、ルートをよく把握しているという利点がありますが、身体的な制約や健康問題により、配送の遅延やサービスの低下などが見られます。
さらに、長時間の運転により疲労や集中力の低下は、交通事故のリスクを高める恐れがあります。定期的な休憩や、新しい技術に順応するための教育などが求められるでしょう。
多くの先進国でドライバーの高齢化が進んでおり、若年層のドライバーが不足しています。高齢ドライバーの引退にともない、新たな労働力の補充が追いつかず、人手不足が課題となっている配達業者が増えているのが現実です。
また、通常配送を引き受けるには十分なドライバーを保有していても、オンラインショッピングの増加で小口配送の需要が急増していることにより、人員の増強が追いつかないところも多くあります。
若年層のドライバーを募りたい場合、おしゃれなデザインのトラックの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
ART FRIEND AUTOでは、おしゃれなトラックの販売や受注などを行っているので、デザインの改良で人手不足を解消したい方は問い合わせてみるとよいでしょう。
ラストワンマイル配送は、繁忙期になると長時間の労働が求められるケースがあり、労働環境の悪化が問題視されています。長時間の労働が続くと、ドライバーの身体だけではなく、精神的にも悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。
ドライバーの賃金は、ほかの職種と比べて低い傾向にあります。契約社員やフリーランスとして働いているドライバーであれば、仕事の安定性が低く、福利厚生が不十分になるケースも考えられます。
また悪化した労働環境は、ドライバーの引退を促す恐れがあり、結果的に人手不足を悪化させてしまうでしょう。ドライバーの疲労やストレスが蓄積されれば、配送の質や顧客サービスに悪影響を及ぼすことがあるので、
サービスの質向上のためにも見直すべきです。
ラストワンマイル配送は、利用者の自宅まで荷物を届ける場合、不在により再配達が発生する可能性があります。受取人が提供した住所情報の誤りも再配達を必要とする原因のひとつとなり、実際に再配達が増加しています。
再配達が発生すれば、追加の人件費や燃料費が生じ、全体的な配送コストの増加につながるでしょう。再配達によって配送ルートの効率が低下すれば、ほかの顧客への配送にも遅れが発生してしまう恐れがあります。
さらに再配達は、CO2排出量の増加などの環境に対する悪影響ももたらします。再配達を避けたい場合は、宅配ボックスやコンビニ受け取りなどのサービスの活用をすすめるとよいでしょう。
先ほどご紹介したラストワンマイル配送の問題は、解決策によって改善される可能性があります。ここでは、ラストワンマイル配送の問題に対する解決策を4つご紹介します。
ラストワンマイル配送でクラウドシステムを導入すると、配送計画や配車、集配状況、配達の進捗状況などをクラウド上で確認できるようになるでしょう。
そのほか、配達にかかる費用の計算や請求書の管理なども行えます。
クラウドシステムによっては、パソコンやスマホなどのさまざまなデバイスから情報を管理できます。ベテランドライバーの経験を活かし、効率のよいルートをデータとして入力したりすることで、新人ドライバーでも効率よく配達業務ができるようになるでしょう。
またシステム導入により業務を効率化できれば、結果的に燃費や車両費のコスト削減につながる可能性があります。無駄のない配達を実現すれば、人件費のコスト削減にもつながります。
ラストワンマイル配送は、配送拠点が多く負担が大きいことが問題となっています。
そのため配送拠点を一本化することで、物流の管理が容易になり、配送プロセス全体の効率化を実現できるでしょう。
そのほか、維持管理コストや人件費の削減、燃料消費量とCO2排出量の削減にもつながります。
また、在庫管理が容易になるため、過剰在庫や品切れのリスクも減少できます。
ただし、配送拠点を一本化するための初期投資が必要です。
具体的には、新しい施設の建設や既存施設の改装を行わなければいけないケースがあります。
複数の運送会社で共同でラストワンマイル配送を行うことで、倉庫を複数体制で管理できるようになり、配送の負担軽減やコストの分担を実現できます。
共同配送でトラックの積載効率の向上と配送回数の削減を実現できれば、燃料費や人件費などのコストを削減できるでしょう。
配送車両の数を減らすと、交通渋滞の緩和にも貢献します。
ただし、共同配送では異なる企業間での効率的な調整と協力が必要です。
配送計画の共有、ルートの最適化などが含まれており、配送情報をリアルタイムで共有できる高度な情報共有システムの導入が重要です。
ラストワンマイル配送の問題のひとつである人手不足は、配送の自動化により解決できる可能性があります。
本記事でご紹介したドローン配送や、ハイテク機器を活用した自動運転サービスなどを利用するとよいでしょう。
配送の自動化を実現すれば、再配達の増加の問題も解決できる可能性があります。
即日配送などが発生しても、ドライバーに負担をかけずに質の高い配達サービスを提供できるでしょう。
ラストワンマイル配送の意味や市場規模について解説しました。次にこちらでは将来の物流問題として、運賃の値上げ交渉について解説していますので、合わせてご覧ください。
ラストワンマイル配送は、eコマースの増加にともない、市場規模が拡大しています。少しでも早く荷物を受け取りたい顧客の需要が高く、顧客満足度向上に直結する可能性があるでしょう。
ただし、利用者にとって便利なラストワンマイル配送ですが、配達業者にとっては人手不足やドライバーの高齢化などの問題が重要視されています。
システム導入や配送の自動化、トラックのデザイン見直しなどで、問題を解決することが大切です。
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