トラックの運転手は、長時間運転や荷物の積み込み・積み下ろしなど、体力や集中力が求められる仕事です。厳しい環境で孤独を感じやすいように見えますが、一方で仕事に楽しみを見出している方たちもいます。
この記事では、トラック運転手の仕事の魅力や仕事に就くメリット・デメリット、仕事をより楽しくする方法についてくわしく紹介します。トラックの運転手への転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
トラックの運転手の仕事はきついだけではなく、楽しさややりがいもあります。以下で、トラック運転手の仕事が楽しいといわれる理由について紹介します。
多くの仕事では、休憩時間や仕事の再開時間が事前に決められていますが、トラック運転手の仕事は異なります。運転手は自分でスケジュールを立てられるため、働く時間をある程度コントロールできます。
荷物を決まった時間に届けさえすればよいため、疲れを感じたときに自分の判断で自由に休憩が取れます。どこでいつ休憩を取っても問題ないという自由度の高さが、トラック運転手の大きな魅力といえます。
自分のペースで仕事を進められるため、仕事に対するプレッシャーやストレスが軽減されます。上司から「次はこれをして、その次はこれを」と指示されることがないため、仕事に追われる感覚に陥りにくいともいえるでしょう。
ドライブ感覚で仕事を楽しめるのも、トラック運転手ならではの魅力です。トラックの運転席は、ドライバーにとって一種の移動するオフィスのようなものです。
移動中は、自分の好きなスタイルで過ごせるため、好きな音楽を聴く、音声通話を使って仲間内で会話を楽しむ、ラジオを聴くなどができます。まるでプライベートな時間を過ごしているかのような感覚があり、仕事でありながらリラックスした時間を持てます。
また普段乗用車で通る道も、トラックで走ると新鮮な気持ちで見えてくるのも魅力です。運転席からの目線が高くなるため、いつも見慣れた景色がまったく違って見えてきます。建物の中にいては感じることのない開放感や自由を満喫できるでしょう。
トラック運転手のなかでも長距離ドライバーの場合は、日本全国のさまざまな場所へ向かう機会が多くなります。北海道から沖縄まで、全国を巡りながら美しい景色を楽しめます。
訪れてみたかった場所が目的地になることもあり、配達の合間に観光地や名所を訪れることも可能です。
お土産の購入や地域ごとの名物料理や郷土料理を味わうなど、仕事をしながら旅を楽しめます。各地を巡る運転手の仕事は、日々の業務が単調にならないため、仕事のモチベーションを高く保ちながら働けるのが魅力です。
トラックの運転手といっても、運転するトラックの種類はさまざまです。トラックは大きく分けて、2tまでの小型、4tまでの中型、10tまでの大型に分類できます。
一般的な平ボディのほかにも、バンボディ、ウィングボディ、冷凍冷蔵車などがあります。さらにタンク車やタンクローリー車など、仕事の内容次第で普段あまり見かけない特殊なトラックに乗ることもあります。
かなりの運転技術を必要とする車もありますが、運転できるようになったときの達成感は格別です。
トラック運転手は、車内が職場となるため、人間関係のストレスが少ないのが魅力です。オフィス勤務のように、一日中会社で苦手な上司や気の合わない同僚と顔を合わせる必要がありません。
団体行動や集団行動が苦手な方や、前職で人間関係のストレスに悩んでいた方にとって、理想的な仕事場といえるでしょう。
もちろん、人間関係のストレスが少ないとはいえ、仕事中にまったく人と関わらないわけではありません。単独行動が多い分、休憩時間にはほかの運転手と交流する機会があります。
仕事の話や世間話で盛り上がり、情報交換を行うことも可能です。程よい距離感で人と関われるのがトラックの運転手の特徴でしょう。
トラック運転手の給与は、職種や働き方によって大きく異なります。とくに大型トラックの長距離運送や特殊貨物の輸送は、高収入を期待できる職種です。
全日本トラック協会の調査によると、令和4年の男性運転手の1か月平均賃金は、普通自動車免許で賞与含め318,800円、大型自動車運転免許で393,400円、けん引免許では447,200円でした。
大型トラックやけん引免許の取得は難しく、運転には高度なスキルが要求されるため、給与も高く設定されています。基本的に貨物量が多く、運転距離が長い場合に高収入を得やすくなっています。
さらに深夜シフトがある場合は、手当を受け取れるため、高収入が期待できます。深夜の時間帯は渋滞が少なく、ストレスを感じずにスムーズに運転できるのがメリットです。
トラック運転手の仕事は、選考に学歴がほとんど考慮されません。運転技術や事故歴、資格が重視されるほか、とくに無事故歴は大きな選考ポイントです。安全に荷物を目的地まで運んでくれる運転手を採用したいと企業側は考えているからです。
つまり免許を取得していて事故歴がなく、やる気さえあれば採用される可能性が高いということです。学歴に自信がない方でも、運転技術と努力次第で評価されるため、やる気を維持しながら働けます。
トラック運転手の仕事のメリットやデメリットを知ることで、本当に自分に合った仕事かどうかを判断できます。自分の強みや向き不向きを考えながら、トラック運転手として働くメリット・デメリットを見ていきましょう。
トラック運転手として働くメリットは、体力がつく、雇用が安定している、家計を節約できる、自由度の高い働き方が実現できる、以上4つです。以下でくわしく紹介します。
トラック運転手として働くことで、自然と体力がつくようになります。荷物の手積みや手降ろしなど、日常的に体を動かす仕事が多いからです。
座り仕事は肉体的には楽ですが、体を動かさなければ鈍ってしまいます。そのため、手荷役は体を動かすよい機会ともいえます。体が自然と鍛えられるため、仕事を通じて健康的な肉体を手に入れられるでしょう。
トラック運転手は需要が高いため、仕事がなくなる心配がほとんどありません。オンラインショッピングをする人が増加したことにより、商品の配送需要が急速に拡大しているためです。
さらにトラック運転手の高齢化問題もあります。現在、運転手の多くが高齢ドライバーと呼ばれる方たちであるため、今後大量の退職者が出ることが予想されます。人材不足がさらに深刻化するため、ドライバーの需要はますます高まることでしょう。
トラック運転手の仕事には、自分の裁量で決められることが多くあります。そのひとつがルート選択です。
運転手は一般的に、目的地に向かうルートを自由に選択できます。運転手の力量が試される場面であり、渋滞を回避して時間通りに到着した、余裕を持って到着できたなど、自分の判断で成功したときの達成感は大きいものです。
また法律や会社の規定に従う必要はありますが、どこで休憩を取るか、いつ休憩するかは運転手自身の判断に任されています。休憩時間には、サービスエリアで美味しいものを食べる、温泉につかるなど、自分のペースで自由に過ごせます。
トラックの運転手のなかでも長距離トラックの場合は、仕事柄外での活動時間が長いため、光熱費を節約できる点が魅力です。
シャワーや洗濯、食事などは、サービスエリアやパーキングエリア、そのほかのお店ですませられます。ほかにも、家での活動時間が少ないため、テレビやエアコン、照明、家電製品などの電気消費量を抑えられます。
トラックの運転手は楽しみややりがいがある仕事です。しかし一方で、働く時間が不規則、家に帰れないなどの問題も生じます。以下で、トラックの運転手のデメリットについてくわしく見ていきましょう。
仕事のスケジュール変動が多いため、帰る時間が不規則になる可能性があります。配送先での待機時間が長い、また荷物の積み下ろしに時間がかかることがあり、計画通りに進まないからです。
とくに長距離トラックは、長い距離を運転することになるため、数日間家を離れることが一般的です。
渋滞や道路工事など、予測できない交通状況がスケジュールに影響を与え、予定外の宿泊が追加で必要になることもあります。一般的なオフィス勤務のように定時に帰れないのがデメリットといえます。
トラックの運転手のなかでも長距離トラックは、数日間家を離れる場合があるため、家になかなか帰れないこともあります。
家族がいる方は、家族と過ごす時間が減る可能性があります。子どもの成長を見守る機会が少なくなり、一緒に食事をとれないことでコミュニケーション不足になってしまうおそれもあります。
そのため、家庭のある方は仕事への理解を得ることと、帰ってきた際に質の高いコミュニケーションを取ることが大切です。仕事先でも、ビデオ通話やメッセージングアプリを使って、家族と積極的にコミュニケーションを取りましょう。
トラック運転手は、腰痛や痔になるリスクがあります。長時間座り続けることで、腰やお尻に負担がかかり、肛門周辺の血流が悪くなるからです。荷物の積み下ろし作業で、無理な体勢を取ることでも、腰に負担をかけています。
予防するためには、座席にクッションを敷く、休憩中にストレッチや散歩など適度な運動を行うことが効果的です。腰やお尻への負担をやわらげ、血流を改善できます。
また荷物を持ち上げるときは、腕や腰の力だけで持ち上げると体を痛めてしまいます。一度腰を深く下ろし、荷物を体に密着させてから、立ち上がる力を利用して持ち上げると腰を痛めません。
楽しいと思える仕事でなければ、モチベーションが上がらず、せっかく就いた仕事も長くは続きません。以下でトラックの運転手の仕事が楽しいと感じる人の特徴を紹介します。
運転が好きな人にとって、トラックの運転手は理想的な仕事です。場合によっては荷物の積み込みがありますが、基本的には運転が仕事の中心であり、趣味を仕事にするようなものです。
単調な日常から離れ、広い道路を走ることで得られる解放感は、ほかの職業では味わえないものです。自然の中を走ることもあれば、都市の風景を眺めることもあり、そのたびに新しい発見があります。
トラックの運転手は、車が職場となるため、基本的にひとりで過ごします。そのため、ひとりでの行動が好きな方にとっては理想の職場となるでしょう。
移動中は自由に過ごせるため、音楽鑑賞やラジオ視聴など、ひとりの時間を満喫できます。車内では自分だけの空間で、ひとりカラオケも可能です。
また休憩中の行動も自由です。車内でテレビを観る、タブレットで動画鑑賞するなど、思い思いに過ごせます。
トラックの運転手になるためには体力が必要です。長時間の運転に耐え、荷役作業をこなすためには、十分な体力がなければ続けられません。
また安全管理や判断力も求められるため、日々の健康管理も大切です。積み荷を落とす、エンストを起こすなど、予期せぬ出来事にも冷静に対処できる力が求められます。
健康状態が良好であれば、安全で効率的な荷物の運搬が可能となり、荷主からの信頼も得やすくなります。
責任感がある人は、トラック運転手に向いています。トラック運転手は、設定された期日までに安全に荷物を届けなければなりません。
体調を崩さないように健康面に気をつけ、事故を起こして損害を出さないように努める必要があります。プロのドライバーとして、責任とプライドを持って仕事に取り組むことで、自己成長とやりがいを感じるでしょう。
知らない場所に行くことが苦にならない人は、トラックの運転手に向いています。トラック運転手は、日々異なる配送先やルートを走ることも多く、知らない道を走るときは、カーナビゲーションシステムや地図を使うことになります。
土地勘がない場所を避けたいと思う人や方向音痴な方にとっては、運転手の仕事は厳しいかもしれません。
効率的に荷物を運ぶためには、道に詳しくなることが求められます。常に新しいルートを開拓する意欲がある方にとっては、トラック運転手は非常にやりがいのある仕事となるでしょう。
仕事が楽しくなると自然とモチベーションが高まり、仕事に対するストレスも軽減されます。以下の方法を参考に、運転手の仕事をより楽しく充実させましょう。
大型自動車運転免許を取得すると、多くの荷物を1度に運搬でき、長距離を走行できるようになります。基本給が高く設定されていることが多いため、高収入が期待できるようになるでしょう。
一方、けん引免許を取得するとトレーラーの運搬が可能となります。トレーラーは操作が難しく、運転に繊細さが求められるため、大型トラックのなかでもとくに給料が高いことで知られています。
ほかにも、危険物を取り扱うため危険物取扱者、安全運行を管理する運行管理者、荷役作業の効率を上げるフォークリフト運転技能者など、取得可能な資格はさまざまです。
資格を取得することで、手当や基本給がアップし収入が増加する可能性があります。挑戦できる仕事の幅が広がるため、仕事のやりがいも向上するでしょう。
長距離ドライバーになることもひとつの方法です。とくに高収入を目指すなら、長距離ドライバーを検討しましょう。
長距離ドライバーは、短距離や中距離のドライバーに比べて収入が高い傾向にあります。大型トラックを運転する場合が多いため、新たに免許が必要になりますが、需要も高いため、仕事に困りません。
また長距離ドライバーのもうひとつのメリットは、手積み作業がほとんどない点です。荷物の積み込みや積み下ろしは主にフォークリフトによって行われるため、手作業による負担が大幅に軽減されます。腰痛や筋肉疲労が少なくなるため、健康を維持しやすくなります。
運送業界で顔見知りも増え、実績や信用ができたのなら、独立を視野に入れてみましょう。独立して生計を立てるのは簡単ではありませんが、仕事の選択肢や収入を増やすチャンスが広がります。
しかし、売り上げを上げるためには、荷主に報酬を上げてもらうか、新たに仕事を増やす必要があります。報酬アップの交渉を成功させるのは一筋縄ではいかないため、まずは新規の仕事を増やしましょう。つまりは新規荷主を獲得するために、営業や宣伝活動を行わなければなりません。
宣伝活動は、はじめは経営資源が限られているため、効率よく行う必要があります。そこで先輩運転手が行っているのが、トラックに社名やインパクトのあるデコレーションを施す方法です。個性のあるトラックは、走行するだけで自然と宣伝になり、荷主候補の目を惹きつけられます。
細部まで考え抜かれた実用性の高いデザインセンスにより、トラック輸送=自社というイメージを構築可能です。同じ営業エリアのライバル会社よりも印象に残ることで、新たな依頼がくる可能性が高まるでしょう。
こちらの記事では、トラックドライバーに向いている人の特徴を紹介しています。仕事内容や働く際の注意点についても解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
トラックの運転手は、体力的に大変な部分もありますが、やりがいのある仕事です。ある程度自分のペースで仕事がしたい方や運転が好きな方にはぴったりの仕事といえるでしょう。
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